ここでの暮らしが生き方を変えた

神川町の魅力は何と言っても人

2007年群馬県館林市→神川町へ移住

「朝の5時から午後の3時までは会社で働く時間。それから、畑仕事の時間が始まります。今はちょうどジャガイモの芽が出てくる時期ですね」と話す小泉裕一さん(42歳)。妻のますみさん(41歳)やレン君(16歳)、ナオ君(14歳)を伴って、10年ほど前に群馬県館林市から神泉村へと移住してきました。合併を経て、神川町へと名前を変えたこの場所で、移住後に生まれたララちゃん(8歳)と共に、家族5人で暮らしています。会社は自宅から徒歩5分ほどの所にある「松田マヨネーズ」。工場での生産に携わりながら、勤務後はお米や野菜づくりを楽しむほか、地域や学校の活動に参加するなど、神川町ならではの暮らしを楽しんでいるようです。

山に囲まれた、
この美しい場所で生活してみたい

小泉さん一家

小泉さんがこの地域のことを知ったのは、移住する7年ほど前でした。「当時は営業の仕事をしていて、度々ここを訪れていたのですが、本当に景色が綺麗で。ちょうど今住んでいる町営住宅が出来上がったばかりの頃で、いつか自分もここに、という思いがありました」。そして長男のレン君が小学校に上がる一年前ほど前、とうとうその思いを実現することに。ちょうど、タイミング良く部屋に空きが出たこともあり、「仕事は移住してから探そう」と決意。会社を退職し、新たな一歩を踏み出しました。

「山に囲まれた、この美しい場所で生活してみたい」というあまりにシンプルな動機について、妻のますみさんからは反対もあったのでは?との問いに「ありませんでした。良い場所ね、私も行きたい、と自然な流れで話は進んでいきました」とにこやかに答えます。その願い通り、現在お住まいの家の窓からは夫婦で惚れ込んだ青々とした大神山が顔をのぞかせ、小麦畑を揺らす爽やかな風が抜けていきます。

こうして始まった神川町での生活は、小泉さんの余暇の過ごし方、ひいては生活を大きく変えていくことになりました。

 

神川町での暮らしは、子供たちの遊びにも
大きな変化をもたらしました

馬とふれあい

「仕事を始めてすぐに、会社の社長さんから『畑が余ってるから、何か作ってみたら』と言われたのが、野菜作りを始めたきっかけでした。それまでやったことも、興味もなかったんですけどね」。周りの畑の様子を見ながら、見よう見まねで始めた栽培。今ではナスやトマト、ねぎ、大豆など一年を通して様々な野菜を収穫しています。さらに畑仕事に慣れてくると、近所のお寺の住職さんから「祭りに奉納するもち米ないかな」と相談を受けたり、地主さんから「田んぼを貸すから、今まで作っていた古代米作りを続けてくれないか」と頼まれたりするうちに、うるち米を含めた3種類のお米を栽培するほどに。「もち米は住職さんたちと一緒に作っています。全部手作業なんですよ。田植えから、稲刈りまで。子供たち含めて、家族総出でやることもあります」。泥んこになりながらも、一つ一つ丁寧に苗を植え付ける毎年の春の行事は、話を聞いているだけで、子供たちの笑い声が聞こえてくるようです。

神川町での暮らしは、子供たちの遊びにも大きな変化をもたらしました。「館林ではわざわざ公園に連れていって遊んでいましたが、ここでは全てが遊び場。地域の人たちで作る『馬の会』というグループにも入っていて、地主さんなどが共同で所有する馬に乗って遊ばせてもらう代わりに、週に一度餌やり当番が回ってきます。馬の世話をしたり、馬小屋や柵を大人と協力して作ったりすることは、楽しい遊びの一つになっているようです」とますみさん。今は忙しい中高生のお兄ちゃんたちに代わって、小学生のララちゃんが中心となって餌やりを引き受けているとのこと。馬小屋の敷地内に自生しているフキを食べさせるララちゃんの様子は堂々としていて、どこか誇らしげでもありました。

 

 

神川町に恩返しできることは
ないだろうか?

小泉さん

こうした地域の人たちとの交流の中で、今度は自分自身が神川町に恩返しできることはないだろうか、と裕一さんが考え始めたのはごく自然な流れだったといってもよいかもしれません。今年の3月まで2年間、下阿久原の区長として地域活動に参加をしたり、PTA会長を引き受けたりするなど、地域の人々に助けてもらう立場から、今度は地域貢献をしていく立場に。「以前の主人では考えられないことです。表に立って活動することや、人付き合いをすることはどちらかというと苦手な方だと思っていましたから」とますみさん。生き生きと活動するご主人に対し「尊敬しているし、周りの方たちには感謝の思いでいっぱいです」と話します。

神川風景

裕一さんは「神川町の魅力は何と言っても人」と断言します。「僕は神川町に来て、生き方が変わりました。会社の社長をはじめ、周りの人に恵まれたんだと思います。地元には素敵な人たちがたくさんいて、多くの人に助けられてここまできました。これから移住を考えている人には、楽しいこと、面倒なこと、色々あるけど大人も子供も他では出来ない素敵な経験ができるよ、と伝えたいですね」と穏やかな笑顔で話してくれました。

「今年中には狩猟免許をとりたい」と話す裕一さん。現在は猟銃所持許可のための筆記試験の勉強中だとか。免許を取った後は、地元の猟友会に入り、畑を荒らすイノシシやシカの駆除にあたる予定だそう。「以前、檻にかかったイノシシを会社の人たちと捌いて食べたこともあって。今から、山に入るのが楽しみですね」。裕一さんの神川町での活躍に今後もますます期待が高まります。

埼玉県児玉郡神川町大字上阿久原

小泉裕一さん・ますみさん・レンくん・ナオくん・ララちゃん