(魅力紹介)

人と人とがつながるリノベーションのまち熊谷

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    「熊谷」と聞いて、皆さんはどのようなイメージを持っているでしょうか?

    東京から本庄に通う私にとって熊谷は高崎線で通り過ぎる新幹線も停まる大きなまち、そして暑いまち。

    そんな熊谷に今回初めて下車してみました。熊谷は駅前にさまざまなショッピングセンターやビルが広がります。

    まずは散策です。さまざまな大きさのビルが並ぶ中心市街地をこの日は歩いてみました。この日メインに歩いたのは熊谷駅と国道17号の中間にある「星川通り」の周辺。

    (出典:Google Map)

    いろいろなお店が集まり利便性に優れるショッピングセンターもある一方で、ビル街はさまざまなお店が並びます。

    それもそのはず。ここの中心市街地エリアにも商店街が見つかりました。

    「川上本店」さんに「永楽」さん、「南本町商店街」のゲートに名を連ねるお店の名前にとても惹かれます。何やら個性に溢れるお店とたくさん出会えそうな予感がします。

    誰でも「好き」を表現できるカフェーシェアカフェ☆エイエイオーー       

    まず見つけたのは「シェアカフェ☆エイエイオー」さん。この日は開いていなかったので、公式サイトを見てみました。

     

    「将来カフェやお店をやりたいけれど、初期費用がたまらない、お店を続けられるか不安、趣味や特技を活かしたい、そんな人達を応援しながら、地域の人達も楽しくつながるスペースができればと考えています。  曜日単位で自分のお店としてカフェやレストランをオープン。キッチンも客席も食器も全て揃っているので、食材を持ち込めばすぐにカフェを始められる仕様になっています。カフェや軽食だけでなく、雑貨屋さんやタロット占い、バーなど色んな小商いのスタートにご利用ください。」

    (シェアカフェ☆エイエイオー http://koto-lab.com/kumagaya/index.html

    説明にあるように、食品衛生管理責任者の資格を取得さえすれば、自分の趣味や特技といった「好き」を形にできる場所。そんな場所が「シェアカフェ☆エイエイオー」だそう。

    カフェだけでなくバーにも、そして飲食以外にも雑貨屋さんや占い屋さん、さまざまな好きが表現できる場所みたいです。この日はタイミングが悪く開いておりませんでしたが、またお邪魔してみたいです。

    「シェアカフェ☆エイエイオー」さんのInstagramには人の想いが詰まった素敵な料理があふれているのでぜひチェックしてみてください!

     「好き」を表現する本のアパートー太原堂ー                

    そしてその近くには「太原堂」と書かれた店舗が。

    お店のガラス面には「出店者求ム」の文字。「シェアカフェ☆エイエイオー」に近いものを感じる一方で、こちらにはキッチンは見たところありません。ここはどんな空間なのでしょうか?

    折悪しく取材した日には開いておりませんでしたので、調べられる範囲で調べてみました。

    「太原堂」さんは以前まで毛糸店だった店舗を店名もそのままに使用しているそう。毛糸が並んでいた棚を区画分けして本や雑貨を販売しているとのこと。(「熊谷に棚貸し書店「太原堂」 まちに自分セレクトの本棚、空き店舗利用で」熊谷経済新聞(2021512日))https://kumagaya.keizai.biz/headline/877/ 

    「太原堂」さんのポイントは「BOOK APARTMENT」、つまり「本のアパート」として一つ一つの棚がそれぞれ本屋さんになっているところ。

    きっと「本のアパート」に「入居」されるオーナーさんそれぞれの「好き」が詰め込まれた素敵な空間なのだろうと思います。

    Instagramには営業予定やイベントの告知などワクワクする情報があふれています。

    熊谷市立図書館からも月ごとにテーマが設けられて本が並べられます。貸出もできるそうですね。

    熊谷にはリノベーションを行うだけでなく、そこで人と人とがつながる素敵な取り組みが織りなされているような気がします。先述した「シェアカフェ☆エイエイオー」さんはもともと酒屋だった空き店舗がリノベーションされた場所(「熊谷でカフェ運営シェア、県の空き店舗活性化」日本経済新聞地方経済面埼玉40ページ(2020215日))、「太原堂」さんはもともと毛糸屋だった店舗がリノベーションされた場所。

    リノベーションされた店舗で人と人とがつながる取組が、一つだけでなく、いくつもあることが、熊谷の方のまちに対する共有された想いのようなものを感じます。

     熊谷でホッとお茶はいかがですか?ー108 ocha standー          

    この日は日曜日、しかも15時、そして緊急事態宣言であった(取材当時)のでお店によっては昼休みのところや休業中のところも少なくない時間帯です。入りたいと思ったお店になかなか入ることができず、商店街を散策しつづけます。

    すると、「コッペリア」と「梅月堂本舗」と書かれたお店を発見。

    しかし看板には「おちゃスタンド108」の文字。

    店内を覗いてみると、お茶のメニューが目に入ります。寒さとお店への好奇心からドアを開けてお邪魔します。

    今回お邪魔したのは「108 ocha stand」さん。

    先に入られていたお客さんの注文が終わるまで待っている間、店内を眺めると、白を基調とした落ち着いた空間が広がります。メニューを見ると煎茶、玄米茶、ほうじ茶、スパイシーほうじ茶、和紅茶、珈琲、煎茶豆乳ラテなどなど。

    とても迷ったのですが、目に留まったのは、スパイシー焙じ(ほうじ)茶

    「スパイシー」ってありますが、何が入っているのでしょうか?「スパイシー」の中身を伺ってみると、レジ横のPOPを見せてくれました。

    かわいいPOPに書かれていたのは「さんしょう(山椒)」、「しょうが(生姜)」、「いちみ(一味)」。寒空の下歩いてきた私の身体はひんやりしていたので「これは温まる」と思い、「じゃあこれにします!」と即決しました。

    お茶を煎れてもらっている間にお店を眺めつつ、「108 ocha stand」さんからお話を伺います。

    「隣の建物とつながっていたのですね。」

    隣のスペースはシェアスペースになっているんです。もともと別のお店でパン屋さんと和菓子屋さんだったんですよ。ここを改装したんです。

    「だから看板に「コッペリア」と「梅月堂本舗」と書いてあるのですね。隣のシェアスペースではどのようなことができるのでしょうか?」

    ―そこは「トナリノ、」言っていろんな人がワークショップなど好きなことができる場所なんです。最近では着物体験会もありましたね。

    いろいろなことが自由にできる場所なんですね。熊谷にはリノベーションするだけでなくそこから人と人とがつながっていく感じがします。」

    108 ocha stand」の八木さんとても穏やかに話してくださります。お話をしていると「スパイシー焙じ茶」が届きました。

    色合いがとてもきれいで、香りを確かめると、一味か山椒のおかげか少し刺激的な香りがします。一口飲んでみるとしょうがの味とともに、山椒のピリリとする感じ、そして一味の刺激があります。ホッとするだけでなく身体の奥底からグッと温まるような温かさというより熱さを感じます。

    「「スパイシー焙じ茶」とてもおいしいです!静岡出身なのでお茶はよく飲んでいたのでこれ大好きです!ここではどこの茶葉を使用しているのですか?」

    ―静岡や鹿児島、そして埼玉などですね。

    「熊谷にはもともとお住まいなのですか?」

    いったんは東京の方で働いていたんですけれど、そこから熊谷に戻ってきました

    「そうだったんですね。戻ってこられてから「108 ocha stand」を始められたのですか?」

    ―もともと本業が建築士なんです。それでここのオーナーさんと知り合って、改装させていただけることになったんです。

    「建築士としてのお仕事が本業なのですね。だからここの空間が八木さんのデザインしたい空間のように感じられます。ちなみにそれではなぜお茶を?」

    ―ここに来るまで商店街を歩いてきましたか?

    「はい、いろいろなところをグルグルしていました(笑) いろいろな飲食店さんを見たのですが、一口に飲食店といってもホルモン焼きや中華、そして喫茶店などさまざまなお店がありました。」

    ―そうなんです。実は熊谷ってレベルが高く、とてもいい雰囲気の喫茶店が多いんですよ。でも埼玉をはじめ熊谷もお茶がおいしいので、お茶の魅力も知って欲しいと思ったりお茶も気軽に楽しんでもらいたいと思ったりしてお茶を出し始めました。

    「こうやって気軽においしいし、本格的なお茶を飲めるのはいいですよね。ところで八木さんはどうして熊谷に戻ってきたのでしょうか?」

    ―都会での働き方に疲れてしまったのはありましたね。今こうやってお店で話していますけど、都会だとなかなかこういった人との関係もないので。そんな中で熊谷に戻ることができるタイミングがちょうど出来たので戻ってきました。

    「私は都内で一人暮らしをしているのですが、気持ちが分かるような気がします。「住む・遊ぶ・働く」が分かれているからこそどうしてもコミュニティが限られてしまう感じがしますね。熊谷は私が見てきた範囲ですけれど、人と人とがつながる場が多い気がします。」

    ―熊谷は面白いですよ。例えばこの「熊谷 街・妄想・ワークショップ」。「まちづくり」ってどうしても専門の勉強をした人がやるイメージってあるかもしれないんですけど、これは誰でも気軽に「妄想」して何ができるか考えるワークショップなんです。

    「「妄想」ってめっちゃいい言葉ですね!具体的にこのワークショップではどのようなことをされるのでしょうか?」

    ―このワークショップは複数回行う講座形式なんです。ちょうど現在月1回のペースで開催されている最中なんですよ。

    ※講座の様子は「108 ocha stand」のFacebookページからもご覧いただけます。

    https://www.facebook.com/tonarino108/posts/4455722334523853

    みんなで実際にまちを歩くことで見つけた発見を地図にチェックするところから始まって、どのようなことが楽しくなるのか考えていきます。実際に形にするところまでやるんですよ。

    「実際に形にまでするのはなかなか難しいのに本当にすごいです!ワクワクしてきました!でも実際なぜアイデアを形にするところまでできるのでしょうか?」

    ―例えば、このワークショップではコーディネーターとして4人の建築家ユニット「エイエイオー」さんが関わっています。それに私も建築士なので単にアイデアを出すだけではなくそこから形にするところまでつながっているのかなと思います。

    ※参考;「熊谷 街・妄想・ワークショップ」

    http://koto-lab.com/kumagaya/ws.html

    「実際に何かこれまで形になったものはあるのでしょうか?」

    「太原堂」さんは見てきましたか?あそこは昨年(2020年)に行われた「熊谷・街・妄想ワークショップ」で生まれたんです。大学生が運営に携わっているのでタイミングが合う時に会えるといいですね。

    「同世代の大学生がまちづくりにこうやって関わっているのはやっぱり熊谷すごいなって感じます。最後に八木さんが考える熊谷の魅力はなんだと思いますか?」

    ―「人」。

    「即答ですね(笑)その理由は?」

    やはり人が温かいんです。いろんな人がいて、その人たちが楽しみながら、つながり、新しいものが生まれていく、そんな人が集まっているのが熊谷だと思います。

    「熊谷のこと、もっと知りたくなりました。近くオススメのイベントはありますか?」

    ―例えば、「星川夜市」ですね。毎月第二土曜日に行われるのですが、「熊谷というまちを住民が楽しもう!」という思いから始まって多くの出店があるのでぜひ来てください。

    ※次回開催は1113日(土)17時~21時です!詳しくはこちら

    「星川夜市必ず行きます!本日はお忙しい中ありがとうございました。」

    ―こちらこそありがとうございました。また星川夜市で会いましょう!

    妄想が毛糸のようにつながり、空き店舗を誰かの「好き」で彩られる、そんな熊谷の姿を見ることができました。

    いよいよ1113日は久しぶりの「星川夜市」、私もお邪魔しようと思います。今からとても楽しみです!

    ぜひ皆さんも人と人とがつながる熊谷、楽しんでみてくださいね。